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財産管理の受託者による横領

被相続人には子がおらず,配偶者とも死別していましたので,約20年前に遺言書を作成しました。
遺言書には,全財産をYの姪であるXに遺贈することが記載されていました。

被相続人は,高齢のために歩行が困難となり,特別養護老人ホームに入所しました。被相続人は自身で財産の管理をすることが難しくなったため,被相続人の亡夫とその先妻との間の子Yに対して,金銭の管理を委託しました。

ところが,Yは,被相続人から,預貯金の通帳,カード,印鑑を預かったことをいいことに,
被相続人の預貯金口座から約3800万円を出金して取得しました。

被相続人が亡くなった後,Xは,Yから,遺言書が2通あるなどと告げられて,被相続人の遺産をXとYとで分ける提案を受けました。

京都府 70代男性
財産管理

財産管理の受託者による横領

解決内容

Yの提案はXが被相続人の生前に聞いていた話と異なることから,Xは弁護士に対応を相談しました。
Xから依頼を受けて,被相続人の遺産を調査したうえで,預貯金の入出金履歴を取得して精査したところ,Yによる約3800万円の出金が発覚しました。
そこで,Yに対して,約3800万円の損害賠償を求める訴訟を提起し,訴訟において,YがXに対して約2000万円を支払う内容の和解が成立しました。

事案の概要

金銭の管理を他者に委託する場合でも,定期的に残高等の報告を受けるなどして受託者の事務処理が適正かどうかをチェックする必要があります。
誤解があるのかも知れませんが,財産の管理と財産の贈与とは全く異なる行為です。財産の管理権限があるからといって,財産を自由に使用できるわけではなく,財産が毀損することのないように管理する義務がありますので,御注意下さい。

また,相続人の立場からすると,被相続人と長年同居していたような場合や被相続人の財産・生活費などを知っていたような場合を除き,被相続人の財産が適正に管理されてきたのかどうかを知ることが重要です。
そのためには,単に遺産の調査を弁護士に依頼するだけではなく,預貯金の入出金履歴を取得して不審な入出金がないかどうかチェックする必要があり,膨大な資料を突き合せる作業になりますので,弁護士等の専門家に依頼して綿密な検討を加えることをオススメします。

この記事を執筆した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。

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    遺言書には,全財産をYの姪であるXに遺贈することが記載されていました。

    被相続人は,高齢のために歩行が困難となり,特別養護老人ホームに入所しました。被相続人は自身で財産の管理をすることが難しくなったため,被相続人の亡夫とその先妻との間の子Yに対して,金銭の管理を委託しました。

    ところが,Yは,被相続人から,預貯金の通帳,カード,印鑑を預かったことをいいことに,
    被相続人の預貯金口座から約3800万円を出金して取得しました。

    被相続人が亡くなった後,Xは,Yから,遺言書が2通あるなどと告げられて,被相続人の遺産をXとYとで分ける提案を受けました。

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  • 遺言執行者による横領

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    Yは弁護士等の専門家ではありませんでした。
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    ところが,Yが毎日何度もタクシーに乗ってその交通費(5か月間で約70万円)をAの遺産から受領したり,書類を偽造するなど,Yの行動や経費の計上には不審な点が多々ありました。

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