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相続1 親が亡くなったときにすることベスト3

親が亡くなったときは、動揺してしまいますし、やらなければならない手続きがたくさんあり、何から手を付けたらよいのか分からなくなる方も多いと思います。
この記事では、親が亡くなったときに必ずやるべきことを3種類紹介します。

  1. 死亡届関係の手続き
  2. 年金・保険関係の手続き
  3. 遺産の相続手続き

この3種類です。それぞれ見ていきましょう。

1.死亡届関係の手続き

親が亡くなった場合は、医師から死亡診断書を受け取り、死亡届、火葬、葬儀、埋葬の手続きを行わなければなりません。

1.1親が亡くなった直後 死亡診断書(死体検案書)をもらう

親が病院で亡くなった場合は、病院の医師に「死亡診断書」を発行してもらいます。事故死や自宅での突然死の場合は、警察に連絡し、警察で検視を行ってもらい、「死体検案書」を作成してもらいます。

死亡診断書、(死体検案書)は、後で、生命保険金請求、健康保険の手続きなどで必要になることもあるので、念のためコピーを取っておいた方がよいです。

1.2死亡届を行う

死亡診断書(死体検案書)は、死亡届と一体となっています。右半分は死亡診断書(死体検案書)の欄で医師が記入します。左半分は、死亡届の欄で、亡くなった人の遺族が記入して届出を行います。

死亡届の提出は、届出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3カ月以内)に行わなければなりません。(戸籍法86条)

届出義務者は、同居の親族、その他の同居者などです。第一次的に届出義務があるのは同居の親族ですが、同居していない親族が届出を行うこともできます。

死亡届の提出先は、「死亡地」でできるとされています。必ずしも、親の本籍地や住所地で行う必要はありません。死亡地のほか、親の本籍地、届出人の所在地の市区町村役場で届出を行うのが一般的です。

死亡届を提出する際は同時に、「死体火葬許可申請書」も提出します。こちらは、死亡届を提出する際、役所から記入を求められる書類です。

役所が死亡届と死体火葬許可申請書を受け取ると、「死体火葬許可証」が交付されます。

1.3火葬・葬儀

火葬は、親が亡くなってから24時間経過した後で行われます。亡くなった直後に火葬できないのは、蘇生の可能性があるためとされています。

現在では、多死社会が到来し、火葬場や遺体安置所が足りず、火葬待ち(葬儀難民・火葬難民)となる問題が生じています。地域によっては、火葬・葬儀まで時間がかかってしまうこともあります。

火葬の際は、死体火葬許可証を火葬場に提出します。火葬が終わると、火葬場から骨壷と共に「埋葬許可証」が渡されます。

1.4納骨

納骨は、いつまでに行わなければならないという決まりはありません。墓がない場合は、墓を用意できるまで、骨壷を自宅に安置することもできます。

ただ、墓に納骨する際には、火葬場から受け取った「埋葬許可証」が必要になるので、無くさないようにしましょう。

2.年金・保険関係の手続き

市区町村役場に死亡届を出しても、年金・保険関係の手続きが自動的にリンクされるわけではありません。死亡届とは別に手続きが必要になるため、忘れないようにしましょう。

2.1年金受給停止の手続き

親が厚生年金や国民年金を受け取っていた場合は、年金事務所などで年金受給停止の手続きが必要です。これを行わないと、不正受給とみなされることもありますし、受給した年金の返金が必要になります。

手続の期限は、親の死亡から、国民年金の場合は14日以内、厚生年金の場合は10日以内です。

なお、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている場合はこの手続きは省略できます。

2.2健康保険の資格喪失届

親の健康保険証を返却します。

国民健康保険や後期高齢者医療制度の場合は、市区町村役場で親の死亡後14日以内に行います。

職場の健康保険の場合は、年金事務所で親の死亡後5日以内に行います。

2.3介護保険資格喪失届

親が要介護・要支援認定を受けていた場合は、介護保険の資格喪失の手続きを行います。市区町村役場に介護保険証を持参し、死亡後14日以内に行います。

以上の手続きは必要な届出ですが、以下の手続きは、請求することで遺族がお金をもらえる手続きなので、取りこぼしのないようにしましょう。

2.4葬祭費・埋葬料の請求

親が国民健康保険か後期高齢者医療保険の加入者だった場合は、市区町村に「葬祭費」を請求できます。金額は5万円が一般的ですが、自治体により、1万円から7万円と幅があります。

また、健康保険の被保険者だった場合は、健康保険組合などに「埋葬料」を請求できます。金額は5万円です。

いずれも請求できる期間は、親の死亡や葬儀を行った日から2年以内です。

所得などに関係なく請求できるので、忘れないようにしましょう。

なお、葬祭費・埋葬料は、葬式にかかった費用の補填を目的としているため、葬式を行わない直葬や火葬のみの場合は、請求できないこともあります。自治体や健康保険により異なるため、確認してください。

2.5未支給年金の請求

国民年金や厚生年金は偶数月の15日に支給されます。また、支給されるのは先月までの2カ月分です。つまり、4月に振り込まれる年金は、2月、3月分の年金になります。

41日の時点で親が亡くなった場合は、415日が到来する前に、年金受給停止の手続きを行います。届出を行うことで、亡くなった時点から、年金は受け取れなくなります。

415日が到来しても親の年金は振り込まれません。

では、生存中の2月、3月分の年金はどうなるのかですが、遺族が未支給年金の請求を行わないと受け取れないことになっています。

未支給年金を受け取れる遺族は、配偶者、子 、父母、孫 、祖父母などです。親の配偶者がいる場合は配偶者。両親が共に亡くなっている場合は子か受け取ります。

手続は、親の年金証書や戸籍謄本、住民票を用意して年金事務所や年金相談センターなどで行います。

未支給年金の請求期限は、年金支払日の翌月の初日より起算して5年以内です。

3.遺産の相続手続き

親が亡くなった後は、親の遺産の相続手続きが必要です。

一人っ子のように遺産分割協議が必要ない場合でも、遺産の相続には以下の手順を踏まなければならないので注意してください。

3.1相続人調査

親の相続人が誰なのかを確定します。親が結婚や離婚を繰り返していたり、外で愛人を作ったりしていたのでなければ、誰が相続人なのかは、家族や親族の間では明白ですが、不動産登記申請や銀行での手続きでは必ず、相続人調査が必要になります。

具体的には、親の出生時から死亡に至るまでの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本を集めます。これらを集めることで、親がいつ結婚して、どんな子供が生まれていたのかを確認し、相続人を確定します。

戸籍は本籍地の市区町村役場に申請して取り寄せるのが原則ですが、令和631日からは、戸籍証明書等の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書等の請求ができるようになります。

3.2遺言書の有無の確認

親が遺言書を残していないか確認します。

自筆証書遺言は自宅内の書斎や金庫、法務局での自筆証書遺言書保管制度の利用の有無を調べます。公正証書遺言なら、公証役場に問い合わせれば、作成の有無が分かります。

自筆証書遺言書が自宅に保管されていた場合は、家庭裁判所で検認手続きを受けなければなりません。

3.3相続財産調査

親にどのような遺産があるのか確認します。不動産、銀行預金などを中心に、遺産の一覧表を作成して、おおよその金額を確認します。遺産の総額が3000万円を超える場合は、相続税の申告が必要になる可能性があります。

3.4相続放棄は3カ月以内

遺産の相続手続き関係で、最も気を付けたい期限が相続放棄の期限です。

相続財産調査の結果、負債超過であることが判明したら、相続放棄をしなければ、親の負債を相続してしまいます。それを防ぐためには、家庭裁判所に親の遺産についての相続放棄を申し立てます。

期間は原則として、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内です。

3.5遺産分割協議と遺産分割協議書の作成

相続人と相続財産が確定したら、相続人同士で遺産分割協議を行い、分け前が決まったら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は相続人の人数分作成し、実印を押して、印鑑証明書も添付します。

3.6相続税の計算、申告・納付

遺産分割協議を終えたら、相続税を計算します。相続税は大まかに言うと、以下の計算式でプラスになる場合に課税される可能性があります。

遺産の合計額-基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)

例えば、一人っ子であれば、親の遺産が3600万円を超えていれば、超えた分に対して相続税が課税されます。二人兄弟なら、4200万円がボーダーラインです。

もっとも、相続税には様々な控除制度もあるため、実際に相続税がかかるかどうかは、専門家に相談して確認してください。

なお、相続税の申告・納付は、10カ月以内に行わなければなりません。

3.7不動産登記手続き

親の不動産を相続した場合は、相続登記の申請を行います。

令和641日からは、相続登記の申請は原則として3年以内に行わなければならないことになりました。

遺産分割協議が長引くなどして、3年以内に相続登記ができない場合は、とりあえず、簡易な手続きである相続人申告登記を行い、相続登記申請義務を履行したものとすることもできます。

4.まとめ

親が亡くなったときにやるべきことは、この記事で書き出したこと以外にも、細かい手続きがたくさんあります。

少なくとも、この記事で紹介した3種類だけは確実に行うようにしましょう。

親が亡くなった後でやらなければならないことはたくさんあって、混乱しがちですが、この記事で紹介した3種類だけはしっかり行ってください。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。