土曜・夜間も相談対応

TEL 050-3628-2026電話受付時間 平日 09:00~20:00
土日祝 09:00~20:00

遺言執行者による横領

Aは,約30年前に公正証書遺言を作成していましたが,
その内容は,
① 配偶者Xに不動産及び預貯金を含む遺産全部を相続させる。
② 遺言執行者としてYを指定する。
というものでした。
Yは弁護士等の専門家ではありませんでした。
Aが亡くなってYが遺言執行者に就任しましたので,YはA名義の通帳,印鑑及び不動産関係書類一式を受領しました。
ところが,Yが毎日何度もタクシーに乗ってその交通費(5か月間で約70万円)をAの遺産から受領したり,書類を偽造するなど,Yの行動や経費の計上には不審な点が多々ありました。

兵庫県 70代女性
遺産分割

遺言執行者による横領

解決内容

Xから依頼を受けてAの遺産を精査した結果,YがAの遺産の一部である預金(残高約90万円)を隠して残産目録に記載せずXへ報告していないことや遺言執行のためではない費用として約180万円が計上されていること等が判明しました。

YからA名義の遺産を換金した金額の返還を受ける必要がありますが,
Yがお金に困っている可能性が高いと思われましたので,
まずは,Y所有の不動産に対して仮差押命令を申し立てて,
不動産の仮差押の登記を具備し,
Yが不動産を売却するなどして無資力になるリスクを回避しました。
次に,Yに対して受取金返還請求訴訟を提起しました。

Y所有の不動産については,Yが仮差押解放金を供託したうえで第三者へ売却してしまいましたが,
最終的に,Yから損害賠償として約700万円の支払を受けることを内容とする訴訟上の和解が成立しました。

事案の概要

公正証書遺言や自筆証書遺言において,遺言執行者を指定する場合には,弁護士などの専門家を遺言執行者に指定することにより,遺言執行者が遺産を横領することを未然に防ぐことが重要です。
遺言書を作成した後に,遺言執行者に指定した者と疎遠になるということもありますが,このような場合には少なくとも遺言書を再作成するかどうか検討すべきであり,新たに遺言書を作成した方がよい場合も多いと思います。
また,遺言執行者の執行内容に疑問点があれば,遺言執行者に事実関係を確認するとともに,早急に弁護士に相談して,対応策を検討するようにしてください。

この記事を執筆した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。

その他の解決事例

  • 相続人が判断能力を失って賃料不払を続けた場合

    はじめに

    土地を他人に貸すなどして長期にわたって取引をしていたところ,取引相手が認知症になってしまうということが高齢社会のリスクとしてたびたび起こっています。

    土地を貸している場合に,地代が入金されていれば,借地人が認知症になったとしても,そのまま様子を見るという方も多いのではないでしょうか。

    借地人が亡くなって相続が発生した後についても,地代が入金されていれば,そのまま様子を見るという事例も多いように思います。

    本件は,土地を借りていた賃借人が亡くなって相続が発生した後,そのまま相続人である配偶者が地代を支払っていたものの,配偶者が認知症になってしまって,地代の支払が滞り,借地上の建物も空家のまま放置されていた,というものでした。

    ...

  • 不動産売却

    訴訟上の和解における遺産分割の結果,
    相続人三名の共有となったある地方の不動産(土地・空家)を売却することとなりました。

    当初,相続人三名のうちの一名は,その地方の知合いの不動産仲介業者に不動産売却を相談しましたが,その不動産仲介業者は,相続人三名全員の同意がなければ売却できないにもかかわらず,購入希望者を1者紹介して早急な決断を迫るばかりで,不動産をできるだけ高く売るという姿勢が全く見られませんでした。

    ...

  • 財産管理の受託者による横領

    被相続人には子がおらず,配偶者とも死別していましたので,約20年前に遺言書を作成しました。
    遺言書には,全財産をYの姪であるXに遺贈することが記載されていました。

    被相続人は,高齢のために歩行が困難となり,特別養護老人ホームに入所しました。被相続人は自身で財産の管理をすることが難しくなったため,被相続人の亡夫とその先妻との間の子Yに対して,金銭の管理を委託しました。

    ところが,Yは,被相続人から,預貯金の通帳,カード,印鑑を預かったことをいいことに,
    被相続人の預貯金口座から約3800万円を出金して取得しました。

    被相続人が亡くなった後,Xは,Yから,遺言書が2通あるなどと告げられて,被相続人の遺産をXとYとで分ける提案を受けました。

    ...

  • 遺言執行者による横領

    Aは,約30年前に公正証書遺言を作成していましたが,
    その内容は,
    ① 配偶者Xに不動産及び預貯金を含む遺産全部を相続させる。
    ② 遺言執行者としてYを指定する。
    というものでした。
    Yは弁護士等の専門家ではありませんでした。
    Aが亡くなってYが遺言執行者に就任しましたので,YはA名義の通帳,印鑑及び不動産関係書類一式を受領しました。
    ところが,Yが毎日何度もタクシーに乗ってその交通費(5か月間で約70万円)をAの遺産から受領したり,書類を偽造するなど,Yの行動や経費の計上には不審な点が多々ありました。

    ...