よくある相談内容
相続税を節税したいのですが方法はありますか?
相続税と節税対策について
遺産相続をするときには、できれば相続税を節税したいと考える方が多いでしょう。しかし、近年相続税制が改正されて、以前よりもずいぶん多くのケースで相続税が課税されるようになっています。
相続税を節税するには、生前贈与などのいくつかの有効な対処方法があります。
今回は、相続税とその節税方法をご紹介します。
1.相続税と基礎控除
相続税は、遺産相続したときにかかる税金ですが、基礎控除が認められます。
基礎控除とは、遺産評価額から基本的に控除できる数字です。遺産評価額が基礎控除までであれば、相続税は発生しません。
相続税の基礎控除は、3000万円+法定相続人数×600万円です。
たとえば、相続人が3人の場合、基礎控除は4800万円となるので、遺産が4800万円以内なら相続税はかからないのです。
ただし、平成27年度から相続税の基礎控除が引き下げられているので、それより前と比べるとより多くのケースで相続税がかかるようになっています。
2.相続税の節税方法
相続税を節税するには、以下のような方法があります。
2-1.生前贈与
まずは、生前贈与が非常に有効な対処方法となります。生前贈与とは、被相続人の生前に推定相続人やそれ以外の人に財産を譲り渡すことです。
贈与した財産は遺産の範囲から外れるので、多くの財産を生前贈与して遺産を減らすと、相続税も減ることになります。
ただし、贈与に対しては贈与税が課税されるので、想定される相続税と贈与税とを比べて少なくとも贈与税の方が安くなるようにする必要があります。
具体的には、毎年110万円までの贈与税の基礎控除、配偶者間の居住用不動産や居住用不動産購入資金を贈与する場合の配偶者控除、親や祖父母が子どもや孫に教育資金や結婚・子育て資金を贈与する場合の特例を利用する方法などがあります。
これらの制度を利用すると贈与税を減らすことができますので、財産を子どもや孫、配偶者などに移転させて、相続財産を減らすことが可能となります。
2-2.不動産の購入、賃貸
多額の現金や預貯金などがある場合、不動産を購入すると相続財産の評価を下げることができます。不動産の相続税評価額は、現金や預貯金より低くなるからです。賃貸物件の評価額はさらに下がるので、賃貸アパートを建築したり、遊ばせている物件を賃貸に出したりしても相続税の節税になります。
また宅地には「小規模宅地の特例」を適用できるケースもあり、適用できれば80%または50%の相続税評価減となって大きな節税効果を得られます。
2-3.養子縁組
相続税を節税するには、養子縁組も有効な対処方法となります。養子縁組をすると、子どもの人数が増えますが、子どもは法定相続人となるのでその分相続税の基礎控除が増額されるからです。
たとえば、法定相続人が3人なら基礎控除額は4800万円ですが、養子縁組によって法定相続人が4人になると、基礎控除額が5400万円となり、相続財産が5400万円まで相続税がかからなくなります。
ただし、養子縁組によって相続税の基礎控除を増やせる人数には制限があります。実子がいない人の場合には2名、実子のいる人については1名が限度となっています。
2-4.生命保険の活用
生命保険の死亡保険金には相続税が課税されますが、法定相続人の人数×500万円までの控除が認められます。
そこで、終身保険などに加入して相続人を受取人にしておくと、現金や預貯金を残すよりも相続税を節税できます。
以上のように、相続税の節税方法はさまざまです。状況に応じた方法を選択するため、お気軽に弁護士までご相談下さい。