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相続手続きをすべてお任せしたい【解決事例紹介】

相続手続きの中には、相続人の方がひとりで進めるのが難しいものがあります。
特に家庭の事情によっては、相続人同士の関係が疎遠で、連絡を取るのも一苦労というケースも。
このような相続では、弁護士が間に入ることで円滑に相続手続きが進みます。
今回は「相続手続きをすべてお任せしたい」という相談者の方の解決事例を紹介します。
※事例は守秘義務に反しないように一部内容を加工しています。
 

事例紹介

遠方に住んでいた父親が亡くなり、相続が起きました。
生前父親は離婚・再婚を繰り返しており、腹違いの兄弟が数人いるようです。
しかし、私は父親とも、他の兄弟とも疎遠な関係で、特に兄弟とはこれまで連絡を取ったことがありません。
相続財産については、少なくとも不動産(マンション)があることがわかっていますので、売って相続人全員で代金を分けたいと思っています。
ただ、借金がある可能性もあり、相続財産の内容についてはわからない部分が多いです。
状況が複雑すぎて自分ひとりで手続きを進める自信がないのですが、対応をすべて任せることは可能でしょうか。
 

弁護士の対応

今回の相談者の方は、弁護士にすべて任せたいという希望をお持ちでしたので、弁護士がワンストップで相続手続きを行うことになりました。
不動産が遠方にある、相続人が全国に散らばっている、といった複雑な事情もある事案でしたが、相続人や相続財産の調査から、遺産分割調停、不動産の処分、債務の返済といった相続に必要な手続きをすべて弁護士が引き受けた結果、無事に相続の手続きを終えることができました。
 

ポイント解説

相続の手続きの中には、相続人がひとりでできるものもあれば、そうでない手続きもあります。
今回の事案では「そもそも相続人が誰かわからない。
連絡先も知らない」「父親と長年疎遠で財産がどうなっているのかわからない」といった状態でしたので、相続人や相続財産の調査から弁護士が関わり、手続きを進めていくことになりました。
 

相続人の調査

戸籍・住民票を取得し、相続人を調査します。
相続人が何人か、相続人の住所がどこか、法定相続分はどうなるのかを調べます。
 

相続財産の調査

相続人の調査とともに、相続財産の調査も行います。
相続財産に何があるかわからないと、どのように遺産を分割するべきか方針を立てることができないからです。
特に、故人に借金がある場合、相続すると相続人が借金を返済しなければなりません。
相続財産の評価額と借金の金額によっては、相続しない方がいいケースもあります。
以下、相続財産の調査方法を財産の種類ごとに簡単に紹介します。
 

不動産

不動産の場合は、故人の自宅に届く固定資産税通知書や不動産が所在する自治体の固定資産税台帳を取得することによって、不動産の所在地や内容を調べることができます。
 

預貯金

預貯金の場合は、故人の自宅に保管されている通帳・キャッシュカードや銀行から郵便物が来ている場合は、そこから金融機関がわかるケースもあります。
手がかりが少なければ、メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ)・ゆうちょ銀行のほか、被相続人の住所や最寄りの駅などの近くにある金融機関の支店について、口座の有無などを調べます。
 

株式

上場会社の株式は、ほふり(証券保管振替機構)に照会すればわかります。
非公開の株式については、会社からのお知らせなどを手がかりとして調べることになります。
 

保険

保険の場合は故人の自宅に保管されている保険証書、保険料の引き落としがあった銀行の取引履歴などから、保険会社名を突き止めることが可能です。
また、心当たりの保険会社名があれば、契約中かどうか、解約されたかどうか、保険金受取人が変更されたかどうか、保険金額や解約返戻金額などを調べることもできます。
 

借金

金融機関(銀行、消費者金融、カード会社)からの借金については、信用情報機関に情報が記録されています。
信用情報機関に照会し、信用情報を調べれば金額や借入先がわかります。
もっとも個人間の借金については故人の自宅に借用書すら残っていないことがほとんどであり、把握するのが難しいというのが実情です。
あとで存在が発覚する可能性がないわけではありませんので、そのリスクをどの程度重視するか、事情をお聞きしながら、決断をしていただく必要があります。。
 

遺産分割協議

相続人、相続財産の内容が判明したら、遺産分割の方針を決めたうえで、住民票記載の住所に手紙を送って他の相続人とコンタクトをとります。
ここで、「住民票のある場所に住んでいなかったら」「返事が来なかったら」と心配になる方もいるかもしれませんが、ほとんどの事案は手紙を送った時点で相続人と連絡がつくことが多いです。
相続人全員と連絡が取れ、法定相続分や遺産の処分に異論がなければ、遺産分割協議書を締結して、無事に遺産分割は終了です。
次に遺産の処分や債務の返済へと手続を進めます。
もしも相続人のうちの誰かと連絡をとることができなくても、多少時間はかかりますが、遺産分割調停や遺産分割審判によって、法定相続分どおりの遺産分割を実現することは可能です。
今回の事案でも、交渉段階では相続人の1名から返信がなかったため、遺産分割調停を申し立てたところ、家庭裁判所からの呼出状に対して相続人全員から応答があり、無事に遺産分割調停が成立しました。
 

遺産分割調停・審判

相続人のうちの誰かと連絡をとることができない場合や、法定相続分や遺産の処分に異論があって話合いでの解決が困難な場合には、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てます。
この際どこの家庭裁判所で手続きを進めるかが問題になりますが、相続人のうちのだれかの住所地の家庭裁判所へ申し立てます(ただし、申立人が自分の住所地の家庭裁判所へ申し立てても、裁判所によって別の裁判所へ移送という手続がとられてしまいます)。
家庭裁判所から遠方の相続人がいる場合、原則は出頭ですが、新型コロナウィルスの影響もあり、電話会議等での参加が幅広く認められています。
今回の事案では、遠方の家庭裁判所で調停を行うことになりました。
弁護士が電話で調停に参加し、2回で話し合いをまとめることができました。
なお、調停に来ない相続人がいる、話し合いがまとまらない、といった事情がある場合は調停での解決ができないため、審判で遺産の分け方を決めてもらうことになります。
 

不動産の処分

今回の事案では、お父様がマンションを持っていたため、不動産をどうするかも問題になりました。
不動産の分け方はいくつかありますが、特に不動産をほしがっている人がいないのであれば、「不動産を売って売却代金を分ける」という換価分割が基本になります。
この場合、弁護士に依頼すれば、不動産の売却を仲介する不動産屋の手配、売買契約書の締結、売買代金の決済まで含めて、トータルの対応が可能です。
遠方の不動産でも対応できますが、遠方の不動産の決済時には弁護士の出張が必要になります。
 

債務の返済

不動産や預貯金等の換価が無事に終了したら、最後に債務の返済があります。
この時点で、信用情報に記載のあった貸金業者等から債権調査票を取得するなど、すでに債務総額を把握しているはずで、貸金業者等と利息や遅延損害金のカットについて交渉していきます。
今回の事案は、故人が生前に個人再生手続によって債務額を減額してもらっていましたので、個人再生手続の記録も裁判所から取り寄せて、貸金業者等と交渉のうえ返済をすませました。
 

弁護士からひとこと

「被相続人とも他の相続人とも没交渉で何をしたらいいのかわからない」「相続の手続きに不安がある」といった場合は、すべての手続きを弁護士にまかせることが可能です。
相続人や相続財産の調査、遺産分割、不動産の処分、債務返済にいたるまで、ワンストップで対応できます。
相続税の申告や相続放棄との関係で、相続の手続きにはタイムリミットがあります。
「よくわからないから」といって放置していると、思わぬデメリットを被る可能性も否定できません。
相続のことで少しでもわからないことがあったら、早めにご相談いただければと思います。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。