土曜・夜間も相談対応

TEL 050-3628-2026電話受付時間 平日 09:00~20:00
土日祝 09:00~20:00

遠方の弁護士に依頼しても大丈夫か?

相続でトラブルが起きた場合、まず問題になるのが弁護士選びです。
どこの弁護士に依頼したほうがいいのか、迷われることも多いのではないでしょうか。
特に亡くなった家族が遠方に住んでいたような場合、現地の弁護士に依頼したほうがいいかもしれない、と考える方もいるかもしれません。
それとも、やはり自分の居住するところから近い弁護士に依頼するべきなのでしょうか。
今回は「遠方の弁護士に依頼しても大丈夫か?」というテーマで、最近の弁護士事情や遠方の弁護士に依頼する場合のポイントをご紹介します。
 

事例

私は北海道在住の女性です。
このたび大阪に住む父親が亡くなり、相続の手続きが必要になりました。
しかし、相続分をめぐる兄弟間の対立があったり、異母兄弟の存在が発覚したりと、当事者だけで遺産分割の話し合いを進めるのはもう無理と思っています。
 
私としては弁護士の先生に依頼したいのですが、その場合どこの弁護士に依頼すればいいのでしょうか?
 

Q:遠方の弁護士に事件を依頼しても大丈夫か?

A:IT技術が進歩したこともあり、以前より遠方の弁護士に事件を依頼するハードルは下がっていると思います。
zoom、teamsなどのWeb会議システムなどを使えばスムーズにやり取りできるケースも多いです。
 

遠方の相続事件の依頼はどこの弁護士に頼むべきか

法律トラブルに巻き込まれて弁護士に相談する場合、特に弁護士の知人がいないのであれば、まずは「自宅から近い場所に事務所を持つ弁護士に相談しよう」と思う方が多いのではないでしょうか。
 
たしかに打ち合わせの都合も考えると、事務所に行きやすい方が依頼者の方にとっては便利です。
迷ったら、ひとまず「距離的に近い場所にいる弁護士に依頼する」というのは合理的な選択だと思います。
 
しかし一方、今回のように、遠方で相続が起きた場合のようなケースはどうでしょうか。
 
考えられる選択肢は、主に次の3つだと思います。
 

  • ①他の事件と同じように自分の地元の弁護士に依頼する
  • ②亡くなった方が最後に住んでいた場所の近くの弁護士に依頼する
  • ②現在お住まいの場所に関係なく、信頼できそうな弁護士に依頼する

 
結論からいえば、どの選択肢を選んでも大丈夫です。
今はIT技術が進歩し、裁判所もIT化などが進んでいます。
依頼者と弁護士との距離、弁護士と裁判所との距離、どちらかあるいは両方とも遠方であっても、以前とは比べものにならないほどスムーズに手続きを進められるようになっており、弁護士選びにおいては以前より地理的な制約が少なくなっています。
 
たとえば、地方裁判所ではteamsというWeb会議システムで裁判手続きが進められることが今や大半で、家庭裁判所では主に電話会議が活用されています。
必ずしも弁護士や当事者が裁判所まで行かなければならないというわけではなくなってきているのです。
コロナ禍もきっかけの一つとなって、どこの裁判所の調停や裁判であってもリモートで対応できる環境が整っています。
 

それぞれの選択肢のメリット・デメリット

ここでは、地元の弁護士に依頼する場合、遠方の弁護士に依頼する場合、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
 

地元の弁護士に依頼する場合

地元の弁護士に依頼するメリットは、コミュニケーションを密に取れることです。
特に複雑な事件の場合、何度もヒアリングや打ち合わせが必要になるため、距離的に近い場所にいる弁護士の方が、自分の意見をきちんと伝えることができて精神的に安心できるということもあるかもしれません。
 
ただし、弁護士事務所から遠方の裁判所の相続事件の場合、現地への出張が必要になるため、出張日当や交通費がかさんでしまうというデメリットがあります。
 

遠方の弁護士に依頼する場合

弁護士事務所の場所に関係なく、信頼できそうな弁護士に依頼するという選択肢もあります。
 
今回は大阪で相続が起きているケースですので、まずは現地ー大阪近隣に事務所を構える弁護士が第一候補になるでしょうか。
特に不動産を売却しなければならないような場合、現地在住の弁護士であれば現地の不動産業者や司法書士の先生などに人脈があることから、スムーズに手続きを進められるかもしれません。
このあたりは、遠方の弁護士に事件処理を依頼するメリットといえるでしょう。
 
一方のデメリットは対面で頻繁に打ち合わせするのが難しいことでした。
今は、zoomなどのWeb会議システムもありますので、特にパソコンやインターネットが使える方であれば、必ずしも対面での打合せにこだわる必要はありません。
 
最近では、Web会議システムで初回の法律相談を受け付ける弁護士も徐々に増えてきました。
 

遠方のご相談でもスムーズに対応しやすいケース

ここまで相続事件は「遠方の弁護士に頼んでも大丈夫」という前提で話を進めてきました。
ただ、「それでも不安だ」という方もいらっしゃる方もいるかもしれませんので、遠方の弁護士に事件を依頼する場合のポイントをご紹介できればと思います。
 
まず、遠方にいる弁護士に事件を依頼する場合、主な連絡手段がWeb電話会議システム、メール、電話になります。
メールの添付ファイルなどで膨大な資料のやりとりもできますので、特にパソコンが使える環境であれば、ほぼたいていのことはできてしまう状況です。
 
もっとも、相続事件の中でも遺言無効や遺産の使い込みといった事件では、集めなければいけない資料も多く、打ち合わせの内容も複雑になります。
特に複雑な事件では、対面での打ち合わせ回数が多い方が安心していただけるかもしれません。
 

弁護士からひとこと

コロナ禍の中で、特にWeb会議システムが広く普及したことによって、弁護士への相談の仕方や弁護士の案件の処理方法が大きく変わりました。
 
今ではもう自宅近くの弁護士に必ずしもこだわる必要はなく、相続事件の経験があって、信頼できる弁護士にご依頼いただくのがよいのかなと思います。
 
スムーズな事件解決のためには、依頼者の方と弁護士のコミュニケーションが重要です。
しかし、IT技術の進展により、以前に比べると地理的な制約は少なくなっています。
 
Web会議システムをはじめとするさまざまな便利なツールが登場した結果、全国の依頼者から依頼を受ける弁護士も徐々に増えてきました。
 
また、これらのITツールについては裁判所での活用も進んでいます。
2023年には裁判手続きのIT化を進めるべく、民事訴訟法が改正されます。
今後裁判におけるIT技術の活用はますます進んでいくのではないでしょうか。
 
弁護士がITツールを積極的に活用するようになったことで、依頼者の方が遠方にいても柔軟に対応できる時代になってきています。
現在お住まいの場所に関係なく、相続関係のお困り事がありましたら、まずはご相談いただければと思います。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。