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LGBTQ・同性のパートナーがいる場合の相続

同性のパートナーがいる場合でも、現在の法制度では法律婚をすることはできません。
法律婚ができないということは、配偶者が優遇されている様々な制度の恩恵を受けることができないことがあるということです。
社会の変化に伴い、企業や地方自治体レベルではこうしたカップルも夫婦と同じような扱いをしようという流れが生まれていますが、まだまだ法律婚と同等に扱われるということはないというのが現実です。
特に、相続の場面では、パートナーから相続する権利が発生しないことから、法律婚をしている男女のカップルに比べて難しい問題が起きてしまいます。
 

事例

私は三人兄弟の長男であり、現在20年以上同居している同性のパートナーがいます。
両親・弟2人は健在ですが、大学進学を機に上京して以来、疎遠な関係になっており、パートナーの存在も教えていません。
私もパートナーも良い年になってきたので、そろそろ相続について考えるようになりました。
できれば互いにできるかぎり多くの財産を残してあげたいと考えているのですが、どのような方法があるでしょうか。
財産は、マンション(私名義)、預貯金と株式(私名義やパートナー名義)です。
なお、パートナーには連れ子(離婚した妻との子ども)が1人おり、私もこれまで実子のようにかわいがってきました。
血縁関係はなくても自分の家族だと思っていますので、その子どもに財産をあげることも考えています。
 

Q:同性パートナーに財産を相続させることはできるか

A:現状では同性婚が認められていないため、同性パートナーに相続権はありません。もっとも、遺贈などの方法でパートナーに財産を残す方法はあります。
 

法律婚の配偶者にしか相続権は認められていない

異性・同性問わず内縁関係のパートナーには相続権は認められていません。
相続人になれるのは法律婚の配偶者のみとなっているため、遺言もないまま本人が亡くなった場合、パートナーは遺産を受け取ることができません。
 

相続対策として考えられる手段

本人が遺言書を作成しないまま亡くなってしまった場合には、法定相続人が遺産分割によって財産を相続することになります。
そのため、パートナーに財産を残すことはできません。
したがって最低限、遺言書だけは書いておく必要があるといえるでしょう。
「遺言書を書く」という前提で、考えられる相続対策としては次のようなものが考えられます。
財産の状況や家族関係に応じて組み合わせるとよいでしょう。
 

遺贈

まず考えられる方法は、遺贈です。
遺贈は遺言書によって財産を贈与することをいいます。
財産を遺贈する相手に特に制限はないので、この方法であれば問題なくパートナーに遺産を残すことができます。
もっとも、本人の親や子どもなどの法定相続人には遺留分があるため、遺留分侵害額を請求されるおそれがあります。
すべての財産をパートナーに遺贈しても、そのとおりの結果になるわけではない可能性があることには注意が必要といえるでしょう。
 

生前贈与

本人が生きている間に財産を贈与する方法(生前贈与)も考えられます。
ただし、この場合は高額な贈与税という問題がありますし、自分より先にパートナーが亡くなった場合には逆効果になってしまう、という問題もあります。
 

信託

信託という手段も考えられます。
信託は、委託者が受託者に財産を移転して財産の管理や処分を任せ、そこから得られる利益を受託者に渡すという方法です。
財産の管理方法や目的は委託者が自由に決めることができるため、信頼できる誰かに財産をきちんと管理してもらいながら、経済的な利益だけを受託者に渡すことができます。
なお、委託者本人が受益者になることも可能です。
本人の生前から始められることから、判断能力が低下したときの備えとしても注目されています。
 

養子縁組

養子縁組は、新たに法律上の親子関係を発生させるものです。
この制度を活用することで、たとえ血縁関係がなくても法律上家族になることができます。
同性カップルの養子縁組にはいくつかパターンがあり、当事者の希望や家族の状況を考えて自分に合った方法を考える必要があります。
 

新しく養子を迎える場合

まず、パートナーの連れ子がいる場合や将来養子がほしいという場合には、その子どもを養子にする方法が考えられます。
養子は法律上血のつながった子どもと同様に扱われますので、養子やその子が相続すれば、本人の親や兄弟姉妹に遺産がわたることはありません。
今回の事例のように、家族として長年暮らしてきたパートナーの連れ子がいるのであれば、その子どもを養子にするというのは有用な方法であると考えられます。
パートナー本人に遺産を残せるわけではありませんが、パートナーが先に亡くなった場合の問題、葬儀の問題なども考えるとメリットが多い方法といえるでしょう。
 

本人とパートナーが養子縁組で家族になる場合

さらに、パートナー自身と養子縁組を結んだり、パートナーと2人で他の人の養子になったりして法律上の家族になるという手段も考えられます。
この方法のメリットは法律上も家族になれることです。
パートナーの緊急時にも家族として付き添えるなど、法律上の家族になることで実生活上さまざまなメリットがあります。
ただし、養子縁組をしてパートナー自身と家族になる方法については、どちらが養親になり、どちらが養子になるのか、判断が難しいという問題があります。
また、パートナーと2人で他の人の養子になったとしても、相続の場面では、兄弟姉妹が一人増えるということになるので、親が健在であったり、疎遠になっている実子がいるなどの場合には選択肢から除外されますし、「相続させる遺言書」が必ず必要になります。
 

お墓などについても遺言で書いておくべき

お墓などの祭祀承継については、通常の財産の相続とは別に取り扱われることになります。
「自分の死後はパートナーに供養してほしい」などの希望がある場合は、その旨も遺言に書いておくとよいでしょう。
また、葬儀や死後の手続きについては、あらかじめパートナーと死後事務委任契約を結んでおいて、手続きを任せるという方法もあります。
 

弁護士からひとこと

現在社会情勢の変化に伴い、同性カップルを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
同性カップルの不貞慰謝料を認めた裁判例など新しい動きもありますが、制度が変わるまでにはまだまだ長い時間がかかりそうです。
もっとも同性婚を認めない現行法制度においても、相続対策の手段はいくつもあります。
事前に周到な準備をきちんと行うことで、本人の希望をできるだけ叶えるような相続を実現することも可能です。
法律婚をしているカップルと比べ、そうでないカップルは将来の相続に関しては入念な準備が求められます。
各家庭の事情や財産状況に応じておすすめできる手段は変わってきますので、一度弁護士にご相談いただければと思います。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。