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遺言を書くべきケースとは

相続トラブル予防の一歩は、遺言を書くところから。
遺言を書くことですべてのトラブルが予防できるわけではありませんが、上手に遺言を使うことで防げる相続トラブルは少なくありません。
ここでは遺言を書くべき理由や、実際に遺言を書く際の留意点などについて解説します。
 

できればすべての人が遺言を書くべき

どんな場合に遺言を書くべきか。
それに対する答えは「例外なく遺言は書いておいたほうがいい」です。
遺言を書かなくても丸く納まるだろう、と考えている方もいるかもしれませんが、相続トラブルが起きるとしたら自分の死後のタイミングです。
実際に相続が丸く納まってくれるかどうかは、本人が生きている間はわかりません。
仲の良い家族でも相続トラブルが起きてしまうケースはあります。
「大丈夫だろうから、それでいい」「あとのことは知らない」というのも本人としては一つの決断ですが、一般論としては、やはりリスクに備えておくべきといえるでしょう。
最悪の場合を回避するという意味では、誰もが遺言書を書いておくべきといえます。
 

実際に遺言を作成する場合の留意点

遺言を作成する上では、自分がどうしたいのかを決めること、財産などに関する現状を把握することの2点が重要になります。
まず、遺言は自分の財産の分け方を決めるものですから、遺言を作成する本人が何をしたいのかが最優先です。
次に、誰に何をあげるのか、ということを決めなければならないので、遺産の中身や相続人になりそうな人が誰かを把握しておく必要も出てきます。
たとえば相続が起きたあとで遺産の内容を調べるのは結構大変なものです。
特定の銀行の預貯金だけ、といったシンプルな場合はいいですが、有価証券(株式など)、保険などがある場合、本人でも財産の内訳を正確に即答できる人は少ないものです。
さらにネット銀行やネット証券、暗号通貨といったように、本人以外の人間に把握が難しい財産もあります。
財産の内容はつねに変わっていくものなので、実態に合った遺言を書く必要があるといえます。
一方、相続人についても、本人の家族関係によっては事態が複雑になる可能性があります。
本人が離婚・再婚を繰り返していたり、非嫡出子がいたりした場合、思わぬ人が相続人になっていることもあるからです。
もっとも遺言の作成を弁護士に頼んだ場合については、戸籍の調査からやってもらえるため、疎遠になっている血縁者の中に相続人がいる場合でも相続人の抜け漏れは起きにくいです。
 

揉めやすい遺言の典型例と事前にできるトラブル対策

もっとも遺言があるからといって相続がうまくいくかというと、必ずしもそうとは限りません。
遺産の分け方が極端に不平等なケースでは、かえってトラブルを招くリスクがあります。
ここでは揉めやすい遺言とトラブル予防策についてケース別に解説します。
特定の相続人に財産をすべてあげる遺言がある場合
特定の相続人に財産を全部、あるいはほとんどあげる、という内容の遺言がある場合、財産をもらえない相続人に不満が溜まりやすくなります。
事業存続のために後継者に事業用の不動産や株式などを残したい、というように、本人がどうしても特定の相続人にまとまった財産を残したいと考えるケースもあるでしょう。
ただ、事業存続のためには株式や事業所の土地だけではなく、資金ショートさせないために一定の資金をも渡す必要があります。
そうなると結果的に遺産の多くが後継者に行ってしまうことになりますので、他の相続人にとっては不公平な事態となるかもしれません。
それだけにあらかじめ家族に根回ししておく必要があるほか、生命保険金などで調整するなどのフォローも必要になります。
 

不動産がある場合

不動産がある場合は遺言書の有無に関係なくトラブルが起きやすいです。
不動産を分ければいい、という発想もあるにはありますが、不動産の共有を何年も続けるのは現実的ではありません。
何世代にもわたって共有状態が続いた結果、利害関係者が増えすぎてあとになって処分に困るケースもあります。
共有するメリットはあまりありませんので、遺言を使って特定の誰かに相続させるのが現実的な選択といえます。
もっともこのままだと不公平になってしまうので、預貯金などの財産を不動産をもらわなかった人に多くあげるなどして調整する必要があるでしょう。
預貯金などの現金が十分にない場合は保険金を使う方法もあります。
なお、原野商法で買わされた土地など誰も欲しがらないような不動産がある場合は、特定の人に現金を多く残して、その人に相続してもらうなどの方法も考えられます。
 

疎遠になっている子どもがいる場合

最近よくあるのが、同居・近居の子どもと別居の子どもがいて、別居の子どもとは疎遠な関係になっている場合です。
同居・近居の子どもに世話になっているので多く遺産を残したいと考えるパターンに加え、本人と子供の仲が悪くなって疎遠になっているケースも結構あります。
このようなケースで本人が特定の子どもにだけ財産を残さないという内容の遺言を書いてしまうと、あとになって遺留分の問題が起きる可能性があります。
一般論としては、せめて遺留分にだけは配慮した内容の遺言を書くべきといえるでしょう。
ただ、どうしようもなく人間関係が悪化している場合、「この人だけには財産をあげたくない」という希望を持つ方もいますので、あえて遺留分に配慮しないで遺言を書く、というケースもあるにはあります。
遺言作成の依頼を受ける側としては、なるべく本人の意思を尊重するような形で対応しています。
 

相続人同士の仲が悪い場合

相続人同士の仲が悪い場合は、もともと相続でトラブルが起きやすいケースといえます。
「親が亡くなったけれど兄弟仲が悪くて」という方が相談に来られる方は珍しくありません。
親の生前から仲が悪いパターンと、生前はなんとかうまくやっていたものの相続をきっかけに不満が爆発するパターンの2つのパターンがありますが、いずれにせよ相続トラブルに発展するとこじれやすいです。
特に、特定の誰かに遺産のほとんどをあげるといった遺言があった場合、他の兄弟から遺留分を請求されて揉めることになります。
遺言を作成する側にもいろいろ希望があるかもしれませんが、せめて遺留分に配慮して遺言を書いておくというのが、一応の落とし所ということになるかと思います。
 

もめない相続のためには普段の人間関係も重要に

相続については、「遺言があるからもめない、ないからもめる」という単純な話では語りつくせないところもあります。
というのも、相続がうまくいくかどうかは長年積み上げてきた人間関係に左右されるところも大きいからです。
たとえば「4人兄弟の1人に全財産を」という揉めそうな遺言があった場合でも、人間関係が良好であれば、兄弟4人で話し合ってそれなりに分けるという遺産分割ができるケースもあります。
もともと家族仲が悪く、遺言を作成する人の力だけではどうしようもないというケースもあるにはあるかもしれません。
しかし、それでも事情があってやむなく遺産を特定の人に多くあげる場合は家族の了解を得ておく、最低でも遺留分は全員にあげる、など、できるだけ既存の人間関係を壊さないようにするだけの配慮はしておくべきといえます。
また、遺言には財産の分け方についての記載以外にも、「付言事項」といって本人から家族へのメッセージを書いておくこともできます。
付言事項には法的な意味はないため、実際に希望が叶うかどうかはわかりません。
書いておくことで遺族が納得してくれる可能性もありますので、トラブル防止のためにも一応書いておく意味はあるといえるでしょう。
 

遺言を書き直すかどうかは難しい問題

遺言には、遺言を書いた後に書き直すかどうかという難しい問題もあります。
生きている間に生活が変化したり、財産の増減があったりして遺言を書いた当時とは状況が変わってしまうことはあります。
その時々の状況に合わせて遺言を書き直さなければいけない可能性は当然あるでしょう。
ただ、亡くなる前までの間に認知症になりかけた場合など本人の健康状態によっては、遺言の書き直しがトラブルのきっかけになる可能性もあります。
たとえば認知症をわずらった場合、判断能力の低下や、感情のコントロールや認知の問題で子どもの1人とケンカしてしまったり、言うことがコロコロ変わったり、といった事態が起きてくる可能性もあります。
自分によくしてくれる子どもの1人にお金をあげる、あるいは特定の子どもに財産管理を任せることで、のちの相続トラブルの火種を作ってしまうこともあるかもしれません。
以上のことを考え合わせると、相続トラブルを防ぐためには、遺言を書く以外にも、健康を害した時に備えて財産管理を行ってくれる人をあらかじめ決めておくことも重要になります。
 

まとめ~遺言の作成と相続トラブル

相続がうまくいくかどうかは普段の人間関係に左右されるところも大きいのですが、それでも遺言を作ることで防げるトラブルはたくさんあります。
特に、公正証書遺言は遺言の有効・無効をめぐる問題が起こりにくく、信頼性の高い遺言を作りたい方にはおすすめです。
弁護士に依頼すれば遺言の作成はもちろんのこと、もしものときの財産管理についてのアドバイスも受けることができます。
将来の相続に対して不安がある方は気軽にお話いただければと思います。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。