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一人っ子の相続における注意点

「相続が簡単そう」というイメージを持たれがちな一人っ子ですが、一人っ子の相続には一人っ子ならではの問題があります。
ここでは一人っ子の相続における注意点、およびその対策について紹介します。
 

一人っ子の相続における心得

一人っ子の相続における最大のポイントは、ずばり相続人の確認および相続税対策にあります。
被相続人の生前に始めないと間に合わない可能性もありますので、気づいた時点で早めに対策を始めるのがおすすめです。
 

心得その1~相続人調査は慎重に

相続の手続きではまず相続人を確定させるため、相続人の調査を行います。
「一人っ子だから調査なんていらないだろう」と思われる方もいるかもしれませんが、そうとは限りません。
両親が再婚だったり、外に愛人を作っていたりしたような場合、異母兄弟・姉妹がいる可能性もあるからです。
調査の結果「実は一人っ子ではなかった」ということもないわけではありません。
相続トラブルを防ぐためにも、自分の他に相続人がいないかどうか、きちんと確認する必要があります。
 

心得その2~相続税対策をしっかりと

一人っ子の相続で一番問題になるのが相続税対策です。
実は、一人っ子の相続では相続人が少ない分、相続税が高額になりがちです。
あらかじめ対策を考えておかないと、相続が起きたときに困った事態を招くおそれもあります。
 

問題の所在0何もしないと相続税が高額に

相続税は基礎控除額を超える金額に応じて課税されます。
相続税の基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数となっており、相続人の人数が増えるほど控除額も大きくなります。
逆に、相続人が少ない場合は控除額も少なくなるということです。
相続人が1人の場合、基礎控除額は3600万円。
相続財産が評価額3000万円のマイホーム(土地・建物)、そして2000万円の預貯金だった場合、1400万円が課税対象になります。
ちなみに、この場合の税率は15%です。
相続税は相続財産の金額に応じて課税されるため、相続財産の金額によっては20055%が相続税で持って行かれる計算になります。
 

生前贈与をうまく活用して節税を

数百万(場合によっては数千万円)の相続税を支払うのは多くの人にとって大変なことです。
そこでおすすめなのが、生前贈与をうまく活用し、相続財産の金額を減らすことです。
たとえば年間110万円までの贈与については、贈与税が非課税になります。
子どもは一人っ子だが孫がいる、自分は一人っ子かつ独身でもあるが遺産をあげたい人がいるといった場合は、これらの人にコツコツ贈与を行うことで節税できる可能性があります。
ただし、金額や贈与する日を変えておかないと、「実質的にはまとまった額の贈与があったのでは?」と疑われる可能性もあるので注意が必要です。
また相続開始前3年間に受けていた贈与については相続税額の算定対象にされてしまうため、節税効果はありません。
節税効果を期待して生前贈与を行うのであれば、なるべく早く始めるのがポイントといえるでしょう。
 

相続人がいない場合の遺産の行方

一人っ子でも配偶者や子ども(孫)がいる場合、その人たちが相続人になります。
したがって、相続人が誰もいないということにはならないかもしれません。
しかし、一人っ子かつ独身という人が亡くなった場合、その人の遺産は誰のものになるのでしょうか。
 

遺言で遺贈をする場合

まず遺言があり、特定の人に遺贈が行われたケースを考えてみましょう。
なお遺贈とは、遺言で特定の人に遺産をあげることです。
その場合、遺贈を受けた人が遺言に書いてあるような形でその人の遺産を受け取ることになります。
推定相続人となる人はいないが、事実婚のパートナーや恋人がいる、あるいはお世話になった友人や親族、団体に財産を遺したいという場合は、遺言で遺贈を行うとよいでしょう。
 

特別縁故者がいる場合

誰かに遺産の全部を遺贈する旨の遺言がなく、相続人の不存在が確定した場合には、特別縁故者と呼ばれる人のところに遺産が入る可能性が出てきます。
特別縁故者とは被相続人と特別の縁故があった者をいい、具体的には故人の世話をしていた親族・知人、内縁の夫(妻)などが該当します。
これらの人については、家庭裁判所への請求により、遺産の一部または全部分与を求めることが認められているのです。
 

遺産をもらってくれる人が誰もいない場合

特別縁故者もいないという場合や特別縁故者に財産をあげてもなお余った場合には、最終的に国庫に帰属します。
余談ですが、現代では少子化がすすみ、さらに生涯未婚率も上昇しています。
今後、最終的に誰も遺産を受け取ってくれる人がおらず、国庫に帰属するというケースは増えていくのではないでしょうか。
 

一人っ子の相続は生前対策がポイントに

一人っ子の相続では、相続税対策のように被相続人となる方が生きているうちに始めないと間に合わない手続きもあります。
もし相続に際して不安なこと、わからないことなどありましたら、どうか気軽にお話を聞かせていただけましたら幸いです。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。