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遺産を共有名義にしておく危険性

遺言がない状態で相続が起きた場合、遺産はいったん相続人全員の共有となり、その後みんなで分けることになるのが原則です。
しかし、遺産の中には不動産などのように分けるのが難しいものもあります。
しかし、このような財産があるからといって、みんなの共有のままにしておくのは危険です。
遺産を共有名義のままにしておくことには、様々なデメリットがあるからです。
 

遺産を共有名義のままにしておいた場合のリスクとは

土地や建物といった不動産など分けにくい財産がある場合、手続きの面倒さなどを理由に「とりあえず共有のままでいいや」と考える方もいるかもしれません。
しかし、遺産を共有名義にしておくのは危険です。
最初の話し合いや手続きが多少面倒だったとしても、早めにきちんと分けておくことをおすすめします。
遺産を共有名義のままにしておくことには、次のようなリスクが考えられるからです。
 

後の相続手続きが面倒になりやすい

それぞれの相続人が置かれた環境は年々変化します。
何年、何十年も共有名義のまま財産を放置しておくと、名義人の1人が亡くなってしまったり、認知症になって財産の管理ができなくなってしまったりする可能性もあります。
そうなってしまうと、いざ財産を処分しようとなったときに手続きが大変です。
二次相続が起きて相続人が増える、代理人を選任する必要があるといった理由から、ただでさえ面倒な相続の手続きが余計に大変になってしまうおそれもあります。
 

財産の売却や活用が難しくなる

共有名義の財産は売却や有効活用が難しいものです。
というのも、共有の場合、財産の処分や活用を行うためには全員の同意が必要とされているからです。
つまり、1人の判断で財産を売ったり、賃貸に出したりすることはできません。
そのため売却も有効活用もできないまま、固定資産税や管理費といった維持費だけがかさんでいくおそれもあります。
 

知らない人と財産を共有することになる可能性がある

共有の場合、各自の持ち分については各自が自由に売却することができません。
勝手に持ち分を売られた結果、見ず知らずの人と財産を共有することになる可能性も否定できません。
 

不動産などが遺産に含まれる場合の対処法

現金や預貯金とは違い、不動産のように現物をそのまま分けるのが難しい財産が遺産に含まれていることは珍しくありません。
こうしたケースにおいて、財産の共有を避けるための方法としては次のようなものがあります。
 

代償分割

1人が問題となっている財産を現物でもらい、他の人に「もらいすぎた分」に相当する価額を金銭で支払います。
メリットは共有を避けながら、財産をそのままの状態で受け取れることです。
しかも単独所有となるため、財産の活用や処分も1人の判断で自由にできます。
一方のデメリットとしては、財産を受け取る人に資力が要求されることが挙げられます。
他の人にお金を払うだけの余力がない場合、この方法をとることはできません。
 

換価分割

問題となっている財産を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法もあります。
メリットは財産を金銭に交換した結果きれいに分けられるようになることです。
もっとも、この方法では財産をそのままの状態では相続するということにはならないため、人によってはデメリットが大きいかもしれません。
特に、先祖伝来の土地などが相続財産に含まれるような場合は困る方もいるのではないでしょうか。
 

各家庭のご事情に合わせた相続を

後の手間を考えると、財産を共有のままにしておくことは、あまりおすすめできません。
もし遺産の中に不動産など分けにくい財産が含まれる場合は、家族でよく話し合って、全員が納得のいく分け方を見つけておく必要があるといえるでしょう。
もっとも各家庭それぞれ抱えている事情が異なるため、望ましい相続の形は人それぞれです。
もし相続で困ったことや不安なことがあったら、一度弁護士のアドバイスを受けてみるのもよいかもしれません。
秘密厳守で相談をお受けしておりますので、どうか気軽にお話いただければと思います。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。