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無効の遺言は死因贈与になり得るか

遺言に何らかの不備があった場合、遺言は無効になるのが原則です。
要式に不備があれば遺言全体が無効になってしまいますし、内容に問題があればその部分が無効になります。
ところが、このような場合であっても例外的に遺言の内容が生かされることがあります。
その1つが、死因贈与として有効になるケースです。
 

原則~書き方のルールを守っていない遺言は無効に

法定相続とは違った割合での相続を希望する場合や、財産の遺贈を行いたい場合には、遺言が必要になります。
一般的に利用される遺言には、公正証書遺言と自筆証書遺言がありますが、いずれも厳格な要式が定められているのが特徴です。
そして要式を守っていない場合、遺言そのものが無効になってしまいます。
 

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言を残したいと希望する本人が本文・日付をすべて手書きし、さらに自署・押印して作成する遺言です。
本人が自分で作成できるというメリットがある代わり、「本文がパソコンで書かれている」「正確な日付が入っていない」などの形式上の不備が原因で無効になるケースがしばしば見られます。
 

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場において、証人2人の立ち会いのもとに作られる遺言です。
公証人という法律のプロの関与のもとに作成されることから、一般的には形式上の不備が起きにくく、無効になるリスクが低いといわれています。
しかしながら、証人になる資格がない人が証人として立ち会ったケースなど、遺言が無効になるようなケースがないわけではありません。
 

例外~無効な遺言が「死因贈与」として有効になる場合がある

要式に不備がある遺言は、原則として無効です。
しかしながら、すべてのケースで無効になるとは限りません。
一定の条件を満たした場合、遺言としては無効でも死因贈与としては有効になるケースもあるからです。
 

死因贈与とは

死因贈与とは、贈与を行う側の死亡によって効力を生じる贈与のこと(民法554条)をいいます。
遺贈(遺言で遺産をあげること)との一番大きな違いは、遺贈が贈与側の一方的な意思でできる行為(単独行為)であるのに対して、死因贈与は契約――すなわち財産をもらう側の承諾が必要であるということです。
つまり、死因贈与契約が成立するためには、財産をあげる側(贈与者)、もらう側(受贈者)、当事者双方の合意が必要になります。
 

無効な遺言と死因贈与

財産の贈与に関して当事者双方の合意があったと認められる場合には、無効な遺言が死因贈与として有効になる可能性があります。
特に、財産をあげる旨の約束をした書面が残っていたなどの事情があるケースでは、死因贈与が認められやすいといえるでしょう。
 

死因贈与を主張する場合の流れ

「遺言は無効だが、死因贈与としては有効である」と主張したい場合、まずは遺産分割協議のような話し合いの場で自分の意見を主張することになります。
そこで、もし他の相続人との話し合いがまとまれば、死因贈与があったということを前提にその後の遺産分割の手続きを進めることになるでしょう。
一方、「他に有効な遺言が見つかっている」「主張の内容に納得がいかない」といった場合では、話し合いが難航することも考えられます。
その場合、最終的には裁判で解決を図ることになります。
 

遺言に関して不安やトラブルの気配を感じたときは

特に自筆遺言に関しては形式上の不備が起きやすく、遺言をめぐるトラブルが起きやすくなっています。
書いてある内容の解釈などをめぐって相続人同士の意見が食い違ってしまうこともあるかもしれません。
もし、こうしたトラブルに巻き込まれそうになってしまった場合は、早めに弁護士にアドバイスを求めてみるのもよいかもしれません。
相続トラブルは一度こじれてしまうと解決に時間がかかります。
遺言に関して何か不安やわからないことがあるときは、どうか気軽にお話を聞かせていただければと思います。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。