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作成した遺言書の撤回方法

遺言書を作成していても、何らかの理由で事情が変わると撤回したいと思うこともあるものです。しかし、作成した遺言書は適切な方法で撤回しないと、撤回自体が無効になってしまう可能性があるので注意しなければいけません。

今回は、遺言書の撤回方法や撤回する際の注意点についてご紹介します。
遺言書を撤回したいと考えている人は、ぜひ目を通してみてください。

 

遺言書の撤回方法について

遺言書の撤回方法は、遺言書の種類によって異なります。
ここでは、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の撤回方法についてご紹介します。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が自筆で作成する遺言書のことです。
平成30年に相続法が改正されてからは、財産目録のみパソコンで作成したものが認められるようになりました。
周りの人に知られることなく、自宅でも作成できる遺言書なので、遺言方法の中でも利用しやすい方法として知られています。
自筆証書遺言を撤回するには、自筆遺言証書の方式に従って、「令和2年9月17日付 自筆証書遺言を撤回する」と明記した部分を含めた全文、日付、署名の自書が必要になります。
そして、押印してあることも条件に含まれているので忘れないようにしましょう。
自筆証書遺言に関しては、部分的な加筆や削除もできます。
その場合は加筆や削除した部分を自書し、押印する必要があります。
さらに、遺言書の末尾に加筆したことや削除したことを記載し、署名すれば内容を変更できるのです。

公正証書遺言

公正証書遺言は、2人の証人が立ち会って公証人が遺言者から内容を聞き取り、作成されます。
作成されたものは公証役場で保管されます。
撤回する場合は、遺言の方式に従っていれば問題ありません。
公正証書遺言の場合は、自筆証書遺言のように事情が変わったから変更するということはできない仕組みになっています。
つまり、内容を変更したい場合は、新しく遺言書を作り直さなければいけません。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が作成した遺言書に封をして、遺言書を作成する際に使った印象で封印したものです。
ただ封印するだけではなく、公証役場で2人以上の証人と公証人に提出し、自分自身の遺言書であることを申述します。
その後、公証人が封紙に日付や申述を書き込み、公証人と遺言者、そして承認が署名をします。
証人と公証人が遺言の中身を見ることはありません。
秘密証書遺言に関しても他の遺言書と同じように、遺言の方式に則って撤回できます。
しかし、内容の変更は公正証書遺言と同じようにできないので、作り直さなければいけません。
ただし、封を切って変更した遺言書の内容が自筆証書遺言として認められる可能性もあるので、気になる場合は相続に関する知識を豊富に持つ弁護士に相談してみると良いでしょう。

遺言書はその種類によって大きな違いがあります。
撤回しようと思った場合は、それぞれの方式に則って行えば問題なく撤回できます。
難しいと感じる場合は、弁護士などの専門家に相談してみましょう。

 

遺言書の内容を撤回する際の注意点

遺言書を撤回・変更する場合、いくつか注意しなければいけない点もあります。
続いては、どのような点に注意すべきなのか見ていきましょう。

遺言の有効性を確認する

遺言は、形式によって要件が定められています。
その要件をクリアできなければ、遺言書としての効力を発揮することはできません。
また、遺言書を書いたからと言って、全てその通りになるとも限らないのです。
なぜかというと、兄弟や姉妹以外の法定相続人には遺留分があるからです。
万が一遺言書の中で遺留分を侵害しているような内容が盛り込まれている場合、遺留分侵害請求をされてしまう可能性があります。
そのような事態を防ぐためには、弁護士に遺言書の内容を確認してもらうのがおすすめです。

遺言書自体を破棄したら撤回したとみなされる

遺言書を破棄してしまった場合、破棄した部分に関して撤回したとみなされます。
これは、民法1024条によって定められています。
法律でもこのように認められているため、撤回した内容を含む遺言書を作成する必要はなくなります。
しかし、遺言書が受遺者の手元にあり、返してほしいことを伝えても返してもらえない場合は、遺言書の破棄ができません。
そのため、以前の遺言を撤回するという内容を含む遺言を作成しなければいけません。
作成の仕方は先ほどご紹介した通りです。

 

まとめ

遺言書は1度作成してしまうと撤回できないと思っている人もいるかもしれませんが、適正な手順で行えば撤回や変更ができます。
しかし、知識がない人がやろうと思っても正しい手順を踏めない可能性も高いです。
そのため、遺言書の撤回をしたいと考えているのであれば、相続問題に関する実績を持っている弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に相談することで撤回方法や書き方に関するアドバイスなどを貰うことができ、正しい方法で遺言書の撤回を実行できます。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。