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遺留分の金銭債権化について

遺留分の制度は法改正によって大きく変わりました。
普段遺留分の問題について関わることのない人間にとっては、何が変わったのかや何を注意しなければいけないのか、分からないと思います。

ましてや、遺留分はどういうものかさえ分からない人も多いでしょう。
そこで今回は、制度が変更された遺留分の金銭債権化というトピックについて詳しくご説明させて頂きます。
 

そもそも遺留分とは?

遺留分とは相続人が最低限の遺産を確保するためにある制度です。
これが行使される状況としては、財産を相続する際、もらえる金額が兄弟姉妹よりも少ないといった場合があります。

親は同じであるにも関わらず兄弟で大きな差が開いてしまうと、納得できない人も多いことでしょう。

そんな不満を解決するための制度として遺留分があります。
遺留分は万一遺言書において「全財産を兄(姉)に譲る」と記されていても、財産のうちの一部を自身の手元に残すことが可能です。
 

遺留分は金銭債権化によって金銭を請求できる

遺留分減殺請求権の行使は、金銭の請求という形式になります。
つまり、民法第1046条では、

「遺留分権利者及びその承継人は、特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人(受遺者)に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」

と定められています。

2019年改正よりも前は、遺留分の減殺を請求した場合、請求を受けた相手とで対象財産を共有することとされていました。

そのため、以前は、必ずしも金銭が得られるとは限らず、車や家といった動産が手元に残ることもあり、他の共有者との間で分割することが大変で苦労していました。

しかし、民法が改正され、現在では、金銭の支払いを受けることができます。
金銭の支払であるため、解決のために和解が成立することも多くなっています。

遺留分減殺請求権を行使するべきかどうか、不安を抱いていたものの、実際に行使してみるとやってよかったと思えることが多いようです。

また、裁判所は金銭の支払について期限を定めますので、裁判所により定められた期限を過ぎてしまうと遅延損害金が発生してしまうため、できるだけ早く支払うよう催促できるのです。
 

金銭債権化がもたらすメリットとは?

続いては金銭債権がもたらすメリットをご紹介していきましょう。
数あるメリットの中でも一番大きなメリットとなるのがやはり、遺留分を金銭で回収することが今まで以上に簡単になったということです。

改正前の民法では遺留分減殺請求の相手方が価格弁償と呼ばれる遺留分額の共有を選択した場合のみ金銭で支払いを受けることができるという制度ではありました。

しかしこれだと対処に困りがちであり、一旦遺留分の割合に応じた共有とした上で、共有物分割請求訴訟を提起して金銭化する必要がありました。

つまり遺留分減殺請求訴訟と共有物分割請求訴訟を行うという二手間の手続きを要するため、訴訟を起こす側も起こされる側もどちらも負担が大きいものでありました。

現在では、遺留分減殺請求訴訟が終了すれば、金銭支払いによって速やかに遺留分を獲得することができるようになっています。
 

金銭請求をする際の注意点

それでは最後に金銭請求をする際の注意点を挙げていきます。

注意点は3つあります。
全てを把握した上で納得のいく解決を目指してください。
 

遅延損害金について

遺留分の問題解決にはおおむね1年以上の期間がかかる場合が多く、長期化すればするほど遅延損害金も大きくなってしまいます。

遅延損害金の額に驚かされないためにも、遅延損害金の回収も視野に入れた計画を練らなければならないでしょう。
特に遺産に収益不動産が含まれている場合は注意が必要です。
 

不動産の評価額の調査について

以前は遺留分減殺請求訴訟で請求する内容は,不動産の共有持分の確認や移転登記手続でした。

不動産の詳細な評価は後回しになりがちであり、遺留分割合を請求する内容で訴訟を起こした後に、訴訟が終了するまでに不動産の評価を検討するといったことも可能でした。

しかし現在では、遺留分減殺請求訴訟を提起する段階で請求金額を決める必要があります。
そのため、提訴時点で不動産の評価額を決める必要があり、とりあえず決めた金額で始めてしまうと、訴訟が始まってから請求額を変更するという手間が発生してしまいます。

これまでの審理が無駄になる可能性もあるので注意しましょう。
 

収入印紙について

改正前は遺産として価値が高い存在である土地は、固定資産評価額の2分の1を時価とすると定められていました。

固定資産評価額自体が時価よりも割安に設定され、さらにはその2分の1を時価と処理するための実際の遺産規模に対して印紙代は安い傾向にあったのです。

しかしながら現在では、金銭債権化によって請求金額は、固定資産評価額よりも高い時価評価を基礎とすることになりました。
さらには固定資産評価額の2分の1にするといったこともないので、現在の方が印紙代は大幅に高くなってしまうのです。

遺留分侵害額が高額になればなるほど、印紙代もどんどん上がっていってしまいますので、十分注意する必要があります。
 

まとめ

遺留分の金銭債権化によって変わったことはたくさんあり、メリットはあるものの、もちろんデメリットも存在しています。

メリットがきちんと活かせるように、遺言書の存在が明らかになっている場合には、将来の遺留分減殺請求権行使の可能性や遺留分減殺請求を受ける可能性と、遺留分問題の解決のために必要な事項についてよく検討しておくことがおすすめです。
なかなか理解できないという方は、弁護士に相談するのも良いでしょう。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。