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内縁の妻に相続させたい

「もうそろそろお迎えが来そうだけど、内縁の妻にも財産を相続したい…」など、秘密の結婚を周囲に知られないように生活していた方も、財産を相続させたいと考える方もいるでしょう。本記事では、内縁の妻でも財産を相続できる2つの方法について解説します。

 

 

■内縁の妻に『相続』させられるのは賃借権のみ

前提として、内縁関係の者に対する『相続権』は原則ありません。もし長期間に渡り実質的な婚姻生活を送っていたとしても、婚姻届の提出がない夫婦は他人という扱いをされます。しかし、相続権が認められていない内縁の妻でも、「賃借権」は唯一相続できる財産になります。

 

例えば、男性が内縁の妻と生活するためにアパートを借りていた場合、夫が亡くなった後、内縁の妻がそのままアパートに住み続けた場合、男性がアパートを借りたものの、夫と内縁の妻が共同で借りたとみなされるのです。

 

正確には『賃借権の相続』ではなく、『被相続人の賃借権の援用』と呼ぶことがいいのですが、内縁の妻は夫と暮らしたアパートに住み続けることができるケースが多いです。

(居住用建物の賃貸借の承継)

第三十六条 居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

引用元:借地借家法36

 

 

■内縁の妻に遺産を渡す2つの方法

『相続』という観点で言えば、内縁の妻に財産を渡すことはできませんが、内縁関係の方でも特別に相続を受けさせる方法として、「遺言書」と「特別縁故者」の2つがあります。

◆遺言書で財産分与の相手先に内縁の妻の名前を指定する

相続が行われる場合、遺言書は大きな効力を持ちます。遺言書を用いれば、相続人以外の第三者の誰であっても、相続財産を受け取る人物として指定すれば、適正な方法で相続を行うことが可能です。

そのため、内縁関係にある妻(夫)であっても、被相続人が遺言書に「相続財産の全てを内縁関係者の者に譲る」と適切な方法で記載していると、原則として遺言書の記載内容のとおりに相続が取り行われます。後述する遺留分には注意が必要です。

 

◆特別縁故者になる

特別縁故者とは、被相続人に法定相続人がいない場合に、特別に相続を受ける権利が発生した人のことを指します。法定相続人が1人もいないので、被相続人と縁のあった者に遺産を受け取れる権利があることになります。

ただ、特別縁故者になるためには、家庭裁判所への相続財産管理人の選任申立てと特別縁故者への相続財産の分与の申立てが必要です。特別縁故者への相続財産の分与の申立ては通常10ヶ月以上かかる相続人不存在が確定してから行うことになります。実際に分与を受けられるかどうかは家庭裁判所の判断に委ねられますが、内縁の妻(夫)が特別縁故者となるケースは十分にありえることです。

 

 

■遺言による相続の場合は遺留分の侵害に注意

遺留分とは、一定の法定相続人に対して相続財産の一定を確保するために設けられた制度で、被相続人の財産を頼りにして生活していた一定の法定相続人がこれから生活を送っていくために必要な金銭を保証することを目的としています。

つまり、正規の相続権を持った配偶者や子供、直系卑属に最低限保証された遺留分の侵害があった場合、内縁の妻に対して遺留分侵害額請求が行使され、必ずしも遺言書通りに相続が出来ない場合も考えられます。

 

遺留分の割合は民法で定められており、この権利以上に財産を相続することはできません。

 

(遺留分の帰属及びその割合)

第千二十八条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一

二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

民法第1028

 

(遺留分の算定)

第千二十九条 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。

2 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

民法第1029

 

なお、法改正により遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」として名前も制度内容も改められていますので、名称にはご注意ください(2019年7月1日施行)。

 

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。