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自分の住んでいる家が相続の対象になっている

親名義の家に親と同居している場合、名義人である親が亡くなった時は住んでいる家が相続財産となり、相続手続きが開始します。この時もし相続人が複数人いて、遺産分割の内容で揉めたらどうなるでしょうか。相続で揉めたくない、でも住んでいる売ってお金にすることも避けたい。

 

当記事ではこのような場合の対応方法を解説します。

遺産の分割方法には「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有分割」の4パターンがあります。

 

■現物分割|物理的に分ける

現物分割とは、遺産となっている現物そのものを各人に分けていく方法です。例えば、家は長男に、預貯金は長女に、車は次男に、といった分け方です。この手法は色々な物として存在している遺産をそのまま各人に分けていくため、手続きがスムーズな一方、その価値がバラバラであることがほとんどであるため、不公平感の調整が困難となります。

 

本件のような状況では、親名義の家に住んでいる相続人がその家を相続したいと考えると予想されますが、その他の遺産の価値が低い場合には他の相続人からすんなり了解を得ることは難しいでしょう。

 

■換価分割|売却した金銭を分割する

換価分割とは、遺産を売るなどして金銭に換えて、その金銭を相続人で分ける方法です。金銭は細かく分けることが可能なので、各相続人に対して必要額をきっちり分配することが可能となり、相続人間で不公平感が小さい方法となります。

 

しかし、不動産などの売却には時間と手間に加え税金・手数料といった費用がかかることがデメリットとなります。

本件のような状況では、住んでいる家を遺産分割のために売却することは難しいと考えられるため、換価分割を選択する優先度は低いでしょう。

 

■代償分割|相続した遺産の価値に相当する金銭を支払う

代償分割とは、現物分割の要領で、特定の遺産を引き継いだ相続人が、相続する財産の価値が低い他の相続人に金銭などを代償として支払い、公平性を保つ手法です。例えば、長男が実家の土地と建物3千万円分を相続した際に、長女・次男にそれぞれ1千万円ずつ支払う、といった形となります。

 

本件のような状況では、親名義の家にそのまま住みたい相続人が他の相続人に代償として金銭を支払うことでスムーズな遺産分割となる可能性は高いでしょう。

 

ただし、家を売却しないためその金銭は自分の貯金から出す必要があるため、家の価値が高い場合やまとまった貯金が無い場合などは、他の相続人への分配金額や分配方法・期間をしっかりと話し合ったうえで決定する必要があるでしょう。

 

■共有分割|相続人全員で共有しておく

共有分割とは、不動産、有価証券などの簡単に分けることのできない遺産を複数の相続人の間で共有する分割方法です。例えば、家と土地の持分を長男1/3、長女1/3、次男1/3といった形となります。

 

本件のような状況では、家を相続したい相続人が代償分割で代償として支払う貯金が十分に無い場合などに選択肢として取り得る方法かと思われますが、共有持ち分があるのに利用はできない相続人との折り合いや、将来その家を売却・賃貸などすることとなった場合の関係者の調整、共有者が亡くなった場合にその相続で共有者の名義が変わるなど、面倒な問題を抱え続けることとなるため、おすすめできる方法とは言えません。

 

■まとめ

相続人が複数人いて、自分の住んでいる家が相続の対象財産となった場合には調整に苦労することが予想されます。遺言・生前贈与などもなく相続が開始となった場合には、遺産分割の方法を適切に選択し、スムーズな相続進行を目指しましょう。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。