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財産を渡したい第三者がいる

【はじめに】

自分の財産を配偶者や子供以外の第三者に渡したいと思うこともあるかと思います。

例えば、最期までそばに付き添ってくれそうな病院の方やお孫さん、いま現在よくしてくれる方、場合によっては友人なども。

 

遺産相続において相続権は法定相続人に限られますので、通常何もしなければ財産は「法定相続人」で分配されることになります。

配偶者、子ども(直系卑属)、親(直系尊属)、兄弟姉妹、甥姪がそれです。

 

では、相続人以外の第三者に遺産を渡すには、どのような手段があるのでしょうか。

 

 

■遺産を渡す方法1:遺言書による遺贈(いぞう)

最も手頃でかつ有効なのが、「遺言」です。被相続人の意思を書面に残すことで、

法定相続分より優先される効果がありますので、第三者に財産を残すことが可能になります。(遺贈ともいう)

 

遺言書には

自筆証書遺言:自身が遺言書を作成

公正証書遺言:公証人に遺言書の執筆の保管を依頼

秘密証書遺言:公証人に遺言書の存在証明だけを依頼

 

3つの種類があり、それぞれ特徴がありますが、最も簡単なのは『自筆証書遺言』です。ただ、遺言書は正しく書かないと効力を持たなくなるという注意点があり、もし書き間違えた場合は訂正が認められていませんので、書籍などを参考にしながら、しっかり見直しをしながら書くことをお勧めします。

 

◆自筆証書遺言の書き方

いままでは『自筆』という名の通り、手書きで書かなければならなかったのですが、平成30年に民法改正が入り、自筆証書遺言の書き方も大きく変わりました。平成31年1月13日より施行されておりますので、ネット上の記載を鵜呑みにすると危険ですので、簡単に概要をご紹介します。

 

Q1 改正の概要はどのようなものですか?

A1 民法第968条第1項は,自筆証書遺言をする場合には,遺言者が,遺言書の全文,日付及び氏名を自書(自ら書くことをいいます。)して,これに印を押さなければならないものと定めています。今回の改正によって新設される同条第2項によって,自筆証書によって遺言をする場合でも,例外的に,自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録(以下「財産目録」といいます。)を添付するときは,その目録については自書しなくてもよいことになります。自書によらない財産目録を添付する場合には,遺言者は,Q4のとおり,その財産目録の各頁に署名押印をしなければならないこととされています。

引用元:法務省

 

Q3 財産目録の形式に決まりはありますか?

A3 目録の形式については,署名押印のほかには特段の定めはありません。したがって,書式は自由で,遺言者本人がパソコン等で作成してもよいですし,遺言者以外の人が作成することもできます。また,例えば,土地について登記事項証明書を財産目録として添付することや,預貯金について通帳の写しを添付することもできます。 いずれの場合であっても,Q4のとおり,財産目録の各頁に署名押印する必要がありますので,注意してください。

引用元:法務省

 

参考:http://www.moj.go.jp/content/001279213.pdf

 

参考:http://www.moj.go.jp/content/001279213.pdf

 

■遺産を渡す方法2:生前贈与

被相続人がまだ生きている間に、法定相続人以外の第三者に遺産を渡す方法です。

籍の入っていない内縁の妻や孫、そのほかの人にも贈与することが可能です。

ただ贈与した場合は『贈与税』がかかり、場合によっては相続税よりも高額な税金額が取られる可能性もあります。

 

しかし、生前贈与の際は贈与税優遇制度もあります。かなりわかりにくく複雑な計算や面倒な手続きがありますので、まずは専門家に相談されるのが望ましいでしょう。

 

◆税前贈与の手続き

もし金銭を贈与する場合、特別必要な書類が定められているわけではありませんが、生前贈与が確かにあったと証明するため、贈与契約書を作成するのが一般的です。

 

贈与契約書を作らないケースもありますが、もし証明が必要になった場合は説明が難しいため、贈与とみなされない可能性もあります。その際、贈与税申告トラブルなどに発展する可能性もありえますので、贈与契約書は用意しておくのが良いでしょう。

 

図:贈与契約書の例

 

参考:贈与契約書 – 千葉銀行

 

■まとめ

第三者に遺産を渡す方法は大きくこの2点ですが、遺言書・贈与契約書の作成を含め、『失敗しない』相続をするためにも、一度は専門家の意見を聞いて、自分でできるかどうかの判断材料としていただければと思います。

この記事を監修した人

田阪 裕章

東大寺学園高等学校、京都大学法学部を卒業後、郵政省・総務省にて勤務、2008年弁護士登録。幅広い社会人経験を活かして、事件をいち早く解決します。
大阪市消費者保護審議会委員や大阪武道振興協会監事の経験もあります。